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「主に先立つ者」

2020年12月13日 待降節第3主日礼拝

説教題:「主に先立つ者」

聖書 : 新約聖書 ルカによる福音書 1章76-79節(102㌻)    

説教者:伊豆 聖牧師


主に先立つ者と聞いて皆さんはどんな人物を思い浮かべるでしょうか?多分、皆さんは旧約聖書時代に神に召し出された人物を想像することでしょう。その中でも特に預言者を思われる方も多いと思います。なぜなら、主イエスの誕生の物語には多くの預言者の言葉が用いられているからです。例えば、マタイによる福音書1章22節から23節にはこのように書かれています。「このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。『見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。』この名は、『神は我々と共におられる』という意味である。」また、2章4節でヘロデ王が東方から占星術の学者の訪問を受け、祭司長や律法学者にメシアがどこに生まれるのかを聞く場面があるのですが、続く5節で彼らはベツレヘムであると答え、その根拠として預言者の言葉を6節で用いています。「ユダの地、ベツレヘムよ、お前はユダの指導者たちの中で決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、わたしの民イスラエルの牧者となるからである。」

このように、預言者は主イエスの証をし、主に先立つ者でした。しかし、主イエスと同じ時代に生きながら、主イエスの証をし、主に先立つ者として数えられるのが洗礼者ヨハネです。洗礼者ヨハネとは何者でしょうか?ルカ以外の福音書は洗礼者ヨハネについて多くを語らず、彼の記述はその伝道から始まります。例えば、マタイによる福音書3章1節から2節にはこう書かれています。「そのころ、洗礼者ヨハネが現れて、ユダヤの荒れ野で宣べ伝え、『悔い改めよ。天の国は近づいた』と言った。これは預言者イザヤによってこう言われている人である。『荒れ野で叫ぶ者の声がする。『主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ。』』」マルコによる福音書1章2節から4節までにほぼ同様な事が書かれています。ヨハネによる福音書では1章の6節で神から遣わされた人としてヨハネが紹介され、7節、8節で彼の目的が光について証しするためということが述べられています。そして23節でヨハネは荒れ野で叫ぶ「主の道をまっすぐにせよ」という声であると預言者イザヤの言葉を引用し、自分を表しています。

これら3つの福音書は洗礼者ヨハネが詳細にどこから来たのかという事には触れていません。私たちが読み取れる事は洗礼者ヨハネが神から遣わされて、光(主イエス・キリスト)の証をし、預言者イザヤの言葉に従って荒れ野で伝道をし、人々に洗礼を授けていたという事だけです。もちろん、これだけでも十分この洗礼者ヨハネが主イエスに先立つ者であるという事を私たちに伝えています。しかし、ルカによる福音書は他の福音書に比べて私たちにより詳細に洗礼者ヨハネの事を伝えています。それは洗礼者ヨハネの誕生の事が書かれているからです。彼は祭司ザカリアと彼の妻エリサベトとの間に生まれるのですが、その誕生は天使によって予告されます。ルカによる福音書1章13節から17節です。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。その子はあなたにとって喜びとなり、楽しみとなる。多くの人もその誕生を喜ぶ。彼は主の御前に偉大な人になり、ぶどう酒や強い酒を飲まず、既に母の胎にいるときから聖霊に満たされていて、イスラエルの多くの子らをその神である主のもとに立ち帰らせる。彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」

洗礼者ヨハネはこの天使の告げられた通りの偉大な事をなすのですが、ここで重要なことは洗礼者ヨハネの事が預言者イザヤの預言だけでなく、天使によって宣告されている事です。17節で天使はこう言います。

「彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、」

洗礼者ヨハネが主イエスに先立つ者である事がこの事からお解りになるかと思います。

洗礼者ヨハネの誕生を父ザカリアに告げた天使はその後、イエスの誕生の予告のため、マリアの元に遣わされます。ルカによる福音書1章26節です。注目するのは36節です。天使はマリアに彼女の親類エリサベトも男の子を身ごもっていると告げます。つまり、主イエスと洗礼者ヨハネは親戚関係にあるという事です。さらに、39節から45節では天使の御告げを受けたマリアが親類のエリサベトを訪れる事が書かれているのですが、主イエスと洗礼者ヨハネとの結びつきが描かれています。ルカによる福音書に描かれている洗礼者ヨハネの誕生までの所を読んできますと洗礼者ヨハネがいかに生まれる前から神のご計画の中で、主イエスに先立って歩み、主の道を整えるよう定められていたかが分かります。

やがて、天使の予告に従って洗礼者ヨハネが生まれるのですが、本日の聖書箇所はその時、父ザカリアが聖霊に満たされ、預言した言葉です。76節から77節ではヨハネ自身の事が書かれています。「いと高き方の預言者と呼ばれる」と76節に書かれていますが「いと高き方」とは主イエス、もしくは父なる神の事ですので、主イエスの預言者もしくは父なる神の預言者という事になります。76節後半から77節にかけて書かれている「主に先立って行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを知らせるからである。」という文言はまさに、洗礼者ヨハネがユダヤの荒野の伝道で行っていたことです。そして、78節から79節にかけては主イエスに関しての預言です。神が民を憐れみ、その神の憐れみの心によってあけぼのの光である主イエスがその民を救うことの預言です。

神はご自身のご計画に従って働かれています。旧約聖書時代の預言者や洗礼者ヨハネを通じて主イエスによる私たちの救いの道を整えてきました。私たちにはその神様のご計画がわからず、時として苛立ち、自分たちの計画を優先してしまいます。そして新型コロナウィルスの感染者の増加も私たちを不安にさせており、それによって私たちを自己中心的にしてしまうかも知れません。しかし、この洗礼者ヨハネの誕生と彼のその後の働きを見て神がご計画に従って働かれている方だということがお解りかと思います。主に信頼し、主を待ち望みましょう。

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